YAGIが挑む!アパレル業界のデジタル化

株式会社ヤギは1893年に創業した繊維商社です。社是である「終始一誠意」のもと、マテリアルからライフスタイル、アパレル、ブランド・リテール領域に至るまで、繊維の多岐にわたるビジネスを展開しています。

2019年に立ち上げた「Fably(ファブリ―)」は、繊維業界のあらゆる分野で活躍されている方々をデジタルテクノロジーでつなぎ、新しいものづくりの未来を紡いでいくことを目指すテキスタイルECプラットフォームです。業界のプロツールとして商品紹介だけに留まらずさまざまなコンテンツを交えながら運営しています。このストーリーでは、Fably開発の背景とサービスに込める想いをお伝えします。

(『Fably』の現担当・マテリアル本部 第一事業部 315課長 卜部)

時代の変化に対応しながら繊維を通して社会との共通価値を創造

1893年の創業以来、ヤギは繊維商社として繊維ビジネスの発展に寄与してきました。長い歴史の中でヤギが守ってきたのは、社是である「終始一誠意」と「堅実第一主義」です。商社のビジネスは“信頼”で成り立っています。ヤギは社員一人ひとりが一貫して誠意をもってものごとにあたることによって、繊維産業に携わる人々の厚い信頼を得てきました。

130年の歴史の中で、繊維産業は幾度となく大きな変化を経験しました。その中にあって、ヤギが常に第一線で活躍し続けてこられたのは、繊維商社としての強みを活かし、時代と社会の変化に敏感に対応しながらビジネスを展開してきたからに他なりません。

近年ではますます社会や経済状況が大きく変わり、社会との共生や共通価値の創造(CSV)などの重要度が高まる中、新たに「VISION」を掲げ、人々の豊かで快適な生活に貢献し、社会とヤギグループの持続的成長を目指して様々な事業に取り組んでいます。

テキスタイルのECサイト立ち上げで業務効率化を実現

ヤギはこれまで繊維商社として、国内外の生地メーカーなどと協力し高品質なテキスタイルを提供してきました。しかしながら、テキスタイルの販売には電話やFAXなどアナログな受注業務も多く、業務効率化が必要であると考えました。そこで、テキスタイルに特化したECサイトを立ち上げることになったのです。

これまでもテキスタイル販売をサポートするWebサイトを開設していましたが、在庫の確認が主たる機能であり、受発注には対応していませんでした。決済や配送状況の確認も含めてWebサイトで完結できたらもっとお客様が便利になるのでは、と考えたのがFably開発のきっかけです。

Fablyは3つのフェーズに分けてシステム構築をしており、2020年の第1フェーズでは業務効率化を狙い、在庫管理やお客様への在庫状況提示等の受注の自動化を実現。その直後、コロナ禍になり、在宅勤務中心の状況が続きましたが、この機能が大変活躍しました。

通常、テキスタイルの購入は、スワッチと呼ばれる生地サンプルをいくつも見ながら、サンプル用の生地を決め、サンプルを作成し、その後、量産分の生地を購入する流れで注文を行います。サンプルで風合いや品質などを何度も確認しながら、最終的に購入する生地を決めるのですが、コロナの影響で思うように外出ができなくなり、スワッチを見たくても見られないお客様もいらっしゃる状況がありました。風合いも含めたリアルでの確認はできなくても、材質を把握しているお客様がほとんどですので色合いや柄などの雰囲気はしっかり伝えるようにしたいと思い、Fablyに取り入れました。

出荷オーダーの処理をFablyへ導入したことにより、自宅での出荷業務が可能になり、在庫に関しても、以前はお客様が電話で在庫問い合わせをしていただいていたところをWeb上で確認できるようになったため、購入効率が格段に上がりました。

また、これまでは端切れのサンプルを見て色合いを確認するのが一般的でしたが、Fablyの画面上で確認できるようになったことで、イメージがしやすくなりました。サンプルを確認する前にあらかじめ画面上で必要なものを絞り込めるため、いくつもスワッチを取り寄せるといった資源の無駄遣いも防止でき、環境への負荷を減らすことにもつながっています。

日本の高品質なテキスタイルを世界に届ける

繊維業界全体でもDX化の流れが広まってきており、2021年の第2フェーズではサイトをプラットフォーム化し、自社商品以外のサプライヤーの商品も掲載できるような形にしました。

日本の繊維産地は、品質やクオリティがとても高い商品を作っていますが、直接売る仕組みやお客様との接点が持てていないという実情があります。良いものを作っているメーカー様をより広く認知してもらう場所としてFablyを使っていただきたいと考え、プラットフォーム化を進めました。

そして、Fablyのさらなる発展を目指し、2022年3月には第3フェーズとして海外対応のサービスを始め、アメリカ・フランス・イギリス・イタリア・ドイツからの受注に対応できるようになりました。自社商品を海外で売る目的ももちろんありましたが、サプライヤーの商品の海外販売を手助けしたいという想いがありました。サプライヤーによっては海外に対する接点がなく、売り方や販売ルートもわからないなど、海外に向けて販売したくてもできない現状がありました。そういったサプライヤーのサポートもできるよう、英語表示や海外決済導入などを実現しました。

2023年5月には、ヤギが資本業務提携を締結している、世界最大級の3Dデザイン・デジタルマテリアルライブラリーを運営する米国のswatchbook Inc.と提携し、Fablyに掲載・販売している一部商品のswatchbook上での3DCG化を開始。従来のパターン帳よりも、より大きなスワッチで各色確認ができるようになり、製品に採用した際の状態も確認することができるため、デザインのイメージをより膨らませていただくことが可能になりました。

Fablyを通じて日本のものづくりの素晴らしさを伝えたい

『Fably』の現担当・マテリアル本部 第一事業部 315課長 卜部:
― Fablyは日本のものづくりの素晴らしさを伝えるために立ち上げたサイトです。日本には優良なテキスタイルのサプライヤーがたくさんあるにもかかわらず、良質なテキスタイルを取り扱っているということがうまく伝わらず、業界内でもまだあまり知られていないサプライヤーも多くいらっしゃいます。そういったところに私たちがスポットライトを当てて、ブランディングのお手伝いをしたいと考えています。

また、サプライヤーの中には、海外に対してどのように売っていけば良いか分からない方もいらっしゃいますので、Fablyを通じてそういった日本の隠れた優良サプライヤーの海外展開のお手伝いもしていきたいです。

(FablyのYouTubeチャンネル「Fably Channel」では、日本のものづくりを海外に向けてアピールする動画等も配信しています)

サプライヤーを前面に出して運用するWebサイトは、これまでありそうでなかったのではないかと思っています。自社のテキスタイルだけでなく、さらにサプライヤーを増やしていきたいと思いますが、現在ご利用いただいている33社のサプライヤーの魅力を世界に発信し、業界全体を盛り上げていける、日本を代表するテキスタイルプラットフォームにしていけたら嬉しいです。

Fably公式サイト:https://www.fably.jp/shop/default.aspx
Fably公式Instagram:https://www.instagram.com/fably_official/
Fably公式YouTube:https://www.youtube.com/@fablychannel4602

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