BUSINESS FRONTLINE 01
未知の大陸への挑戦
アフリカと日本を
つなぐ先駆者に

内田 淳平 Junpei Uchida

2004年入社

ABOUT PROJECT

アメリカで開催される世界最大のファッションの祭典「MAGIC」。
ヤギが現地での子供服展開を視野に入れ初出展していた時、担当の内田に思わぬ出会いが訪れる。
商談のためソーシングのブースを訪ねていた時、あるアフリカの国のブースを見つけ、
そこで現地の産業省の方と名刺交換をしたのだった。
これが後に、ヤギにとって未知なる大陸でビジネスを展開するキッカケとなる。

貧困にあえぐアフリカの子供たちに未来を

「私たちの国で服を作ってみませんか?」
「MAGIC」の出展を終え、アメリカから日本へ帰国する便の中、内田は産業省の方のこの言葉をキッカケに、ある思いを巡らせていた。商社人として、社会問題への解決とビジネスを結びつける方法がないのか、その絵を描いていたのである。「アフリカの最貧国では義務教育である小学校を途中で抜け、家族の仕事を手伝う子供たちが大勢います。教育の貧困がさらなる貧困を生み出す負のスパイラルに陥っている現状を変えたかったのです」。
帰国後、すぐに内田は動いた。産業省の方の名刺にあったナンバーに電話をかけた。だが、何度掛けても繋がらない。内田は諦めず次の行動に打って出る。「東京にある大使館に駆け込んで、連絡を取っていただきました。現地で活動されているJICA(国際協力機構)の方もご紹介いただき、売上の一部を学校建設の資金にするために慈善団体の方にも協力をお願いしました」。
それと同時に、内田は部下の一人にアフリカの繊維産業の動向調査を指示し、綿花の原産地、紡績工場の有無、生産管理の現状等、原料調達や生産に関するあらゆる状況を調査した。それを基に、生産を依頼されるお客様に今回のアフリカでの生産意義を説明し、ご納得いただいた。
名刺交換から4カ月。勢い良く行動を続けた内田に、嬉しい出来事が起こる。「MAGIC」で出会った産業省の方と、現地で再会を果たしたのだ。「現地生産品で産業を活性化し雇用を創出しながら、利益の一部を学校建設の費用とするプランに賛同いただけて、本当に嬉しかったですね」。
そこからは産業省の方にも協力いただけるようになった。いくつかピックアップいただいた工場を視察し、生産に最適な工場を選定。お客様からも正式に発注依頼をいただき、実際のものづくりがスタートした。

掲げた“でかい”テーマ。夢で終わらせないための道は続く

しかし、最初から全てうまくいくほどビジネスは単純ではない。内田自身も相当な覚悟を持って取り組んだプロジェクトだったが、現実はもっと厳しいものだった。生産面においては、品質の均一化が図れず、仕上がってくるサンプルは想像以上に不良が多かった。それを正すべく指導しようにも、現地へ行くにはフライトで丸一日以上掛かり、そう簡単に行ける距離ではない。さらに、せっかく商品が無事に仕上がってきても、そこに大きな壁が立ちはだかった。物流面である。アフリカとアジアの貿易がそれほど盛んではないために、コンテナ数も少なく、工場から出荷済みの製品が現地の港で足止めをくらうこともあったという。このように、繊維製品をアフリカから日本へ輸入するためには、工場の技術力や輸入に掛かる物流経費、日本までのリードタイム、様々な面で他のアジア諸国よりも大きなハンデを背負う。
数々の苦難があるなかで、何とか日本のお客様に商品の納品はできたが、学校の設立は道半ばで頓挫してしまった。アフリカビジネスは解決すべき課題があまりにも多く、普通ならあきらめてしまうような壮大なテーマである。しかし、内田は違った。
「学生の頃から海外志向があって、いつかはアフリカに行きたいと思っていました。このプロジェクトを実行する苦労は想像以上でしたが、自分の想いを実現できるタイミングが来たので、行動するのに迷いはありませんでした」。
アフリカビジネスの先駆者となり、他の誰もしたことがないことをやりたいと語る内田。彼には実現したい夢がある。「私たちが学校を建てられたら、そこで学んだ子供たちが大きくなって、いつの日か日本に来てくれることを望んでいます。アフリカで作られた服が、アジアの端っこにある島国で実際に売られていて、それが自分の学びの礎になっていること、自分の教育の役に立っていることを知ってもらえたら嬉しいですね」。
自らの活動が子供たちの視野を広げることにつながればと語る内田。「いつも、やることのテーマだけはでかいんですよ」とはにかむ。メイドインアフリカの製品は、日本のマーケットでまだまだ品質的に受入れられないという現実がある。その課題を克服し、アフリカ生産の確立、そして現地での学校設立のために、今後も日本の市場へのアプローチを続けていくという。彼の未知なる大陸での挑戦はまだまだ続きそうだ。